まんがタイムスペシャル2010年9月号 雑感あれこれ
『パンむすめ』(著:樹るう)
チラシ代わりにティッシュ…ではなく焼きたてパンを配る元気娘ちはるちゃんは、クールだけどホカホカおいしいパンを焼くなっちゃんと二人三脚で、祖父から継いだパン屋さんを切り盛りする若き店長さんでありました。
初登場でいきなり巻頭カラーと鳴り物入りでデビューした本作は、ガムシャラ系ヒロインちはるちゃん&男前なクールビューティー夏緒ちゃんのハイテンションな夫婦(?)漫才が実に痛快です。
パンとじいちゃんのお店への愛が高じて若干19歳で店長となった「こぐまベーカリー」のためにひた走るちはるちゃんを、でらウマなパン作りと静かで優しいツッコミで支える夏緒ちゃんの名コンビぶりが描かれた第1話は結構密度が高いんですが、いざ読んでみると焼きたてパンをついつい一気食いするかのように楽しめてしまう樹先生らしい巧みさに、これからの盛り上がりが期待できますね。
『トンネルの華子さん』(著:松田円)
中学校の通学路にある古いトンネル。華子さんは夏の間だけ、そこに出る幽霊です。
自称美人でめんどくさがりで、だけど面倒見はいい姐さん気質な華子さんの観察日記を仕上げた広海ちゃんでしたが、悩みが解決した時点で二人の縁も一旦途切れてしまったみたいです。
楽しかったり心残りだったり…もう会えない事に気付いたからこそ一緒にいられた時間の貴重さに気付くというのは、人生において避けられない皮肉な場面ではありますが、そんな寂しい空気を活きのいいイワナで吹っ飛ばしてしまうのが華子さんのカッコよさ。
そしてまた、困った人が現れたら華子さんは面倒を見てやらずにいられない…そんな華子さんだから、今も昔も彼女が忘れられずにいるんでしょうね。