『クレヨンしんちゃん』はコミックス20巻くらいまでは昔読んでて、まんがタウンを臼井先生が存命の頃から今でも買い続けてる程度の読者として、以下のコラムを読んで思ったことを書き連ねてみます。
原作とかけ離れた『クレヨンしんちゃん』のスピンオフ作品としては『SHIN-MEN』という前例があったし、そもそも臼井先生ご自身が「恋人を戦場で失ったまつざか先生が女子ボクシングに死に場所を求める」なんて暴走エピソードを描いちゃうセルフ原作クラッシャーだったことを踏まえると、『昼メシの流儀』を「原作の設定と違う!」と叩くのは周回遅れと言えましょう。
クレヨンしんちゃん SHIN-MEN(3) (アクションコミックス)
- 作者: 臼井儀人,相庭健太,中島かずき
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2013/08/10
- メディア: コミック
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そうした前例を踏まえた上で『野原ひろし 昼メシの流儀』への個人的見解を述べると、「これ以上傷が深くなる前に連載を畳んで次の企画を立てた方がいい」と言わざるを得ません。
作品展開上プラスにならない形で炎上してしまった上、今後盛り上がる見込みもない状況でズルズル続けても雑誌と作者の評価が下がるだけだろうし。
便乗の流儀
食べモノ漫画ブームに乗っかろうという企画意図そのものは間違ってないと思うんですよ。
『ワカコ酒』『ラーメン大好き小泉さん』みたいに新規雑誌でも一発でヒットを狙える旬のジャンルなんだから、商売として考えればむしろ積極的に乗っていくべきでしょう。
しかし流行ジャンルは皆が殺到する激戦区でもあるわけで、そこへ『しんちゃん』と『孤独のグルメ』を足して4で割ったような作品を持って行ったところで、『しんちゃん』の知名度という下駄を履かせた上でも他作品に対抗するには厳しいと言わざるを得ません。
個人的には絵柄や作風をもっと『しんちゃん』に寄せるか、みさえさん版『花のズボラ飯』みたいな変化球もありだったように思えます。
食べモノ漫画の流儀
…そもそも『昼メシの流儀』は「食事シーンに魅力がない」という、食べモノ漫画として致命的な弱点があるんですよね。
人気の食べモノ漫画は作品を通じて食べ物の美味しさや店の雰囲気を楽しむなど「食べる楽しみ」を味わえるのが魅力ですが、『昼メシの流儀』を読んでいても、海鮮丼の回では「わさび入れすぎて辛い!」、焼き魚定食では「のどに骨が刺さった!」などなど、他の食べモノ漫画に対する個性の付けかたを間違えてるとしか思えない描写ばかりが目について、楽しむよりも「知らんがな」と白けてしまいます。
他の4コマ雑誌で活躍している(いた)作家を積極的に集めて良作を出してくれているまんがタウンには4コマ好きとして頑張ってもらいたいだけに、『昼メシの流儀』を巡る迷走(としか思えない)状態を何とかしてもらいたいです。