まんがタウン2013年4月号 雑感あれこれ

大正乙女カルテ　（著：野広実由）

「おかおにおべんと
路乃（みちの）さんのえりにも」
「今日は寝坊してしまって〜」
　
三人娘（子持ち含む）の和やかな通学シーンで始まり、
　
「路乃さん 情けないわね」
「で でも〜」
「このご遺体は医学のために体を提供して下さっているのよ！」
　
ホルマリン漬けの検体を解剖するシーンが山場だったりして、袴姿も凛々しく女医を目指す大正レディって素敵…などと脳天気に楽しもうとする読者へ、華々しさとはかけ離れた面を見せつけてくれるあたり、色々と油断がならない作品です。
　
明治の御維新から一世代が過ぎ、女性の社会進出もじわじわ進みつつある一方で、西洋医学や職業婦人への偏見も残る…そんな大正時代という舞台で少女と医学生というテーマを持ってきた時点で勝ちと言っていいんじゃないでしょうか。