４コマオブザイヤー2012に参加してみる【既刊部門】

昨年に引き続き、『素晴らしい日々』さんの企画『4コマオブザイヤー2012』へ参加してみます。
　
2011年12月1日以降から2012年11月30日までに発売された"2巻以降"の4コマ漫画単行本から3作品
（http://d.hatena.ne.jp/hachinohe/20121130）
　
現在連載中の人気作品はもちろん、ここ最近でまんがタイム系列誌の長寿連載が次々と完結したという事情もあって、新刊部門よりも票が割れそうなこの部門。
…とか言いつつ、まとめてみると芳文社作品が入らなかったのは我ながら意外でありました。
　

わたしのお嬢様　メイド服のお嬢様編（下）　（著：樹るう）

わたしのお嬢様　メイド服のお嬢様編　下巻　ドラマＣＤ付き (タツミコミックス)

大河なんちゃってヴィクトリアンホームコメディ、ここに完結！
　
成年向け雑誌の非アダルト作品という特異な立場でありながら、最終巻の刊行にあたって特設サイト（http://www.xn--t8jzax5d0ix92xhsva.jp/）が開設されるわ人気声優陣を揃えたドラマCDを付録にするわと異例の大プッシュぶり…はいいんですが、そんな豪華仕様のお陰か最終巻が結構なお値段になった上に発売直後に品薄となる大騒ぎを見ていると、少々落ち着けと出版社へメリーお嬢様ばりのツッコミを入れたくなったものです。
　
上巻でミリーの、そしてこの下巻でマーチ一家のいざこざが解決して大団円…かと思いきや、最後の最後で急転直下のシリアス展開。
　
ねえミリー 私たち絶対長生きしましょうね
もう限界まで生きて生き抜いて
この世界が
どこまでよく変わるのか見届けてやりましょう
　
力いっぱい恋して泣いて生きてきた日々も、世界大戦という凶暴なまでの現実に一瞬で押し流される無情さに圧倒される一方で、そんな時代の激流に抗して不敵に生き抜く姿を描くことで、強さはもちろん憂いや優しさも描き出す筆致は見事としか言いようがありません。
　
作品タイトルを絶妙に絡めたクライマックスが、樹先生曰く（http://togetter.com/li/378957）今の形に決まったのは最終回直前のことだったという発言には色んな意味でビビりましたが。
　

ポヨポヨ観察日記（11）　（著：樹るう）

ポヨポヨ観察日記 11 (バンブーコミックス)

樹るう作品からもう一作。アニメ化やそれに伴うイベントが小さなお子様に好評だったのを見ると、本作は４コママニアとファミリー層の両方を取り込むことに成功した、貴重かつ幸せな例と言っていいでしょう。
　
そんな状況で出た11巻では初めて飼うペットに振り回されるユカさんをはじめ、相変わらず動物のめんどくさい一面がネタにされ続けているのですが、そこには樹先生がポヨへ託した思いが表れているとのこと。今回のあとがきは動物好きには心に響くものがありますね。
　　

えすえぬ家の人々（２）　（著：IKa）

えすえぬ家の人々 2巻 (ファミ通クリアコミックス)

ねおぢおさんが大活躍していた頃は、今になって思えばゲーセンに活気があふれていた最後の時代でありました。
とうあぷらんさんのアレは余計なモノほど寄ってくるのがウザかったなぁ…などなど、ゲーセン者のノスタルジー直撃なネタはもちろん、IKa先生にとって初めての連載完結作品ということで、ゲームと女児好きなIKa作品ファンには無視できません。
　
そんなあて菜さんとねおぢおさんの擬似母娘物語の顛末については全てが丸く収まる…とはいきませんでしたが、二人の関係がゆるゆると続いていくというのは個人的にアリだと思っています。
ねおぢおさんのホンワカした佇まいの陰にあるハードな事情を知った読者なら、複雑な気持ちを抱かざるを得ない！…のは確かですが。