さるたに秘密メモ@はてなブログ

不定期更新。ゲームとか4コマ漫画などなど。

シューティングゲームサイド VOL.05 雑感あれこれ

サンダーフォース特集にちなんだRVR-01ガントレットの雄姿が眩しい表紙。
今回はひねったネタの仕込みはないけど、これはこれでいいアクセントになってますね。
 

サンダーフォース特集



PSPゲームアーカイブス版(http://www.jp.playstation.com/software/title/jp0242npjj00333_000000000000000001.html)と連動するとか、珍しく普通のゲーム誌みたいなハイスコアコンテスト企画でタイトルを盛り上げようとするあたりに編集部の気合を感じますね。

メーカーによってアーキテクチャが全く異なっていた頃の複数のPCハードへ移植された苦労話…というより武勇伝が多彩な資料と共に語られる『初代』『II』から始まる歴代シリーズ紹介は、ファンが思い入れたっぷりに書いた特集記事として優等生的な仕上がりになっていますが、シリーズファンが一番気にしていた問題作『VI』を完全に黙殺してしまったのは画竜点睛を欠いてしまったと言わざるを得ません。
 
発売前の事前情報からして不安ばかりが高まる中で発売された『サンダーフォースVI』は、シリーズファンに限らないユーザーの期待を予想の最悪レベルで裏切る仕上がりだっただけならまだしも、発売前後に製作者が自ブログでファンを悪い意味で煽りまくる炎上マーケティング的な盛り上がりがコメント欄の大炎上⇒コメント禁止という最悪の形で終わってしまったりと、近い時期にリリースされたXbox360版『怒首領蜂大往生ブラックレーベル』同様にファンをナメた商売をしてたらロクな結果にならないという教訓は、そのマイナス的な意義を目に見える形として残すためにもちゃんと記事にしておくべきだったのではないでしょうか。
 
そもそも当のゲームサイド編集部が身内にとんでもないネタをつかまされて評判を落とされたわけですし、『私のTHUNDER FORCE新作』なんて現実逃避な企画を募集するページ的余裕があるくらいなら、それをシリーズのダメな点をスルーせず正面から語ることに費やす度量が欲しかったですね。
 

怒首領蜂最大往生


当時の開発チームが極限状態だった中で生まれた名作『怒首領蜂大往生』が『最大往生』として再びシューターたちの前に立ちふさがったわけですが、『大復活』並みの弾幕密度を緻密なパターン化とハイパー運用で効率的にさばくことが必須となるゲームバランスは歴戦のシューターにとって非常に熱い反面、1面(ボス除く)を無料で遊べるフリープレイモードがマトモに機能していない事を始めとした初心者お断りな現状は悩ましいところです。
 
くどいほど初心者を意識した感のある『最大往生』紹介記事は、そんなスパルタン極まる本作のゲームバランスを考慮したものだと思われますが、正直言うと一見さんを気にしすぎて本誌の読者層にとっては的外れな記事になったという印象が否めません。
 
結果的にガチシューターしか相手にしてないゲームなんだから、そういう前提で分かる人向けの記事にしてもらった方が読む側としてはありがたいんですけどね。
濃いシューターへ向けたディープで読み応えのある記事は今回の記事を担当した箭本氏にとってむしろ得意分野でしょうし。
 

ダライアスバースト SECOND PROLOGUE


PSP版とアーケード版の長所を取り込んだ、今やシューターにとって無視できないほどに成長したスマートフォンシューティングにおける最高級作というべきシリーズ最新作。
 
シンプルで高威力な通常バーストのみの”レジェンド”、お手軽ながらクセがあるスパークバーストの”アサルト”、テクニカルで強力な設置バーストの”ネクスト”と、本作の肝となる「バースト」の性能を機体ごとに大きく分けたのは、各機体の個性が色濃く強調されることとなって、実に面白い調整ですね。
バーストが無く、片手の指一本だけで操作できる”オリジン”が最もマニアックな攻略を要求されるのも本作ならではですね。
 
主人公もリーガ・プラティカとTi2だよ、というお話が最初にあったんです。
それを聞いた時、真っ先に思ったのは「なんてつらいんだろう」ということだったんです。
PSP版であれだけ二人が頑張って敵を倒したのに、また行けというのかと。

 
製作者インタビューでは、シリーズ初期からメインテーマを作曲してきたサウンド担当の土屋氏と、機体ごとの個性を効果音でも打ち出そうとしている「効果音屋」石川氏による想い入れの深いコメントが印象的です。
とかく景気の悪い話が目立つシューティング界隈において、ここまで内部のサウンドチームが信頼されているケースは実に貴重なだけに、その高クオリティも含めて今後もこの幸せな関係が続いて欲しいですね。
 

伝説のゲームクリエイター#2 慶野由利子トークショウ

本誌の前身である『ユーゲー』『ユーズドゲームズ』の頃から共通してますが、黎明期からゲーム音楽作曲家として活躍してきた立役者へのインタビュー記事は、今も変わらず充実してますね。
 
ゼビウス』『ディグダグ』『ドラゴンバスター』、そしてつくば万博の『コスモ星丸ロボット』(二十代以下の子はお父さんやお母さんに聞いてね)のサウンドに携わった慶野由利子氏が秋葉原のナツゲーミュージアムで行ったトークショウの模様は、2ページの抜粋だけを読んでもその場に居合わせられなかったのが悔やまれる面白さだったようで、特に音周りのネタについては参加者に嫉妬すしてしまいますね。
 
「3音しか使えなかった時代のサウンドを、現代のツールでシミュレートしてみました。
何かにちなんだ曲にしようと思って、G・A・M・Eという四文字を音にして使ってみました。
Mという音は無いから休符にしたと思ったでしょう? 違います! ミュートです」
 
「私、ずっと気になってたことがあるんです」
「『ドラゴンバスター』のクライマックス、プリンセスとのラブシーンの曲。『余韻がない』って言われてしまいまして。
そこでその『余韻』を引き出してみようかなと」

 
テキストだけでも実に充実したレポート記事ではありますが、今回ばかりは録音を含めたWEBで!と切望したくなってしまいますね。
 

並木晃一、松前公高、古川もとあきが語る、ゲーム音楽バンドブームの内幕。


「レーベルが設立された頃、G.M.O.からゲーム音楽のバンドをやってくれって言われて、EXPOっていうバンドを組んだんですよ」
90年代のゲーム音楽バンドブームの過渡期、アルファレコードのG.M.O.レーベルからのお達しをきっかけに「機械のダメさに愛情を」「間違い方の研究」なるコンセプトで生まれたバンドが、2012年の現在にドツキ漫才系4コマ漫画を原作にしたアニメで音楽を手がけることになろうとは誰が予想できたでしょうか。
 
そんなEXPOとS.S.T.BANDの創立に携わった松前公高氏、かつてS.S.T.BANDのリーダーであり、SEGAの『サンダーブレード』『ギャラクシーフォース』を手がけた並木晃一氏、そしてKONAMIで『グラディウスII』『悪魔城伝説』を担当した古川もとあき氏のトークショウとか、当時のゲーム音楽ファンにとっては鼻血モノです。
 
トークショウでは楽曲そのものよりもゲーム音楽バンドが立ち上がるまでの経緯が語られているわけですが、これを読むとゲーム音楽が認知され始めた時期と世間の好景気が重なったお陰で、生まれたばかりの音楽ジャンルがうまいこと盛り上がった事がいかに幸運だったかが実感できますね。
 
…ちなみに当日のUst中継は見てたんですが、音量周りが壊滅的で内容をマトモに把握できてなかったんで、今回の記事は実にありがたかったりして。
 

ゲーム音楽家インタビュー 国本剛章

『チャレンジャー』『スターソルジャー』『ヘクター87』のサウンド担当としてファミコンブームの真っ只中で活躍し、現在はゲーム音楽イベントでも積極的に活躍しているキノコさんこと国本氏へ焦点を当てた今回のインタビュー記事は、当時のハドソンサウンドチームの空気感と、音楽における国本氏の原点にスポットが当たっています。
 
――『チャレンジャー』一面で「軍隊行進曲」をアレンジしたのは、「小学生にウケる曲を作ろうという一心だった」とおっしゃっています。

…この記事をきっかけに「軍隊行進曲」を検索して、「うわ、マジで『チャレンジャー』だ!」と驚愕した人は挙手〜。
 
クラシックや『太陽にほえろ!』などの劇伴といった”誰でも聴いた事がある”音楽を意識し続けた国本氏へのインタビューは後編へ続くようです。
我々ファミコン世代の心へ抜きがたい楔を打ち込んだ御仁のエピソードは実に心惹かれるだけに、続きが待ち遠しいですね。
 

シューティング考現学

弾幕シューティングの功罪について更に突っ込んだところへ触れた今回の記事は、先鋭化したシューティングゲームがゲーセンへいかに悪印象を与えたかという世知辛い一面が語られています。
 
我々マニアは好きなジャンルが衰退し始めると「分かってる」ゲーセンへ流れていくものですが、そのマニアに見捨てられたゲーセンの被ったダメージが当のジャンル全体へ波及していく負のスパイラルが、基板を売る側からの視点でシビアに語られるとグゥの音も出ませんね。
 
その一方で、小規模な人員で開発できる既存の2Dシューティングというジャンルが同人ゲームやDL販売で独自の地位を確保していることに言及していたりと、現状と本誌のテーマを踏まえているのが絶妙ですね。